日経デザインとの共同企画で、オブザベーション(観察)を実施し、そこから得られる気づきや課題を商品開発に活かすという一連のプロセスを実践した。テーマとして選んだのは「キッチン」。キッチンでの観察・ワークショップを通じて、商品開発のアイデアを創出。アイデアはデザイナーが具現化し、プロトタイプを作成。プロトタイプを対象者に見せ、そのフィードバックからブラッシュアップを行った。
今回のテーマ「キッチン」に関するアンケート調査を20~70代の男女8000名に実施し、メインターゲットである主婦層から、属性別に共働き主婦、子育て中専業主婦、アクティブシニア主婦の3名を対象者とした。
実際に家庭を訪問し、台所の様子、調理の場面を観察し、インタビューを行った。
3件の観察から得られた発見や気づきから、商品開発につながる潜在ニーズを探るワークショップを実施した。ワークショップには観察を行ったリサーチャー、デザイナーの他、多様な視点を得るため、料理研究家とコピーライターも同席した。リサーチャーから観察時の気づきを動画や画像を交えて共有することで、観察に同行していないメンバーも調査対象の意識やライフスタイルを理解でき、ユーザーに共感することがニーズの発掘につながった。
ワークショップでは観察から得られたユーザーの不満点、要望を整理し、問題解決となる「除菌できる高温スチーマー」「手がきれいになるゴム手袋」、食育を手軽に家庭で楽しめる「食育キット」といったコンセプトアイデアが生まれた。
ワークショップで生まれた「除菌できる高温スチーマー」「手がきれいになるゴム手袋」、「食育キット」をデザイナーがスケッチからリアルな商品やイメージ画像を制作。
文章でもコンセプトは理解できるが、プロトタイプを見せることで、実際の使用シーンが容易に想像でき、「こんな形だった良いのに」など、ユーザー視点で率直で具体的なコメントが多く得られやすくなり、商品アイデアのスピーディーなブラッシュアップに役立つ。
対象者にコンセプトとプロトタイプを見せ、受容性やブラッシュアップポイントを探った。プロトタイプを提示すると、各商品のニーズ、改良点が浮き彫りになった。例えば、「除菌できる高温スチーマー」はキッチンでの受容性が確認できただけでなく、リビングやお風呂場の排水溝など家庭内での除菌箇所の具体的なニーズが出てきて、主婦層の除菌に対する意識が高いことがうかがえた。
インタビューでアイデアを深堀していくと、様々な商品開発のヒントが生まれる。