今年のテーマはホームレス問題。チームメンバー全員がそれぞれお手伝いしたいボランティア団体様を調べ、直接訪問し、全員の話し合いと投票で決定しました。日本のホームレス人口は年々減少しています。これはとても良いことです。しかし、2017年時点で依然5,000人以上のホームレス状態の方がおられますし、今回お手伝いさせて頂いた有限会社ビッグイシュー日本様(以下、ビッグイシュー様)の報告では30・40代の若い方が増えているとのこと。微力ながらお手伝いしたいというメンバー全員の思いからプロジェクトがスタートしました。
ビッグイシュー様の支援の仕組みはホームレス状態の方が1冊350円の雑誌「ビッグイシュ-」を販売することで180円が自らの収入となり、生計を立てながら自立を目指す、というものです。つまり、救済(チャリティ)ではなく、“仕事を提供し自立を応援する社会事業”という位置付けなのです。しかし、1人あたりの販売部数は変わらないものの、販売者であるホームレス状態の方が減少しているため売上低迷に陥っていました。これが大きな悩みでした。ホームレス状態の方が少なくなったとは言え、事業が立ち行かなくなると困る方がまだまだ大勢いらっしゃるのです。
売上減少の原因が販売者数の減少である以上、取れる対策が限られてきます。そこで私たちはこのプロジェクトの目的を「販売者1人あたりの売上を伸ばす」ことと設定しました。そしてまず第1ステップとして現状把握の調査(全国、20代以上の男女、n=1,993ss)を行い、「ターゲットの設定(1、2)」と「価値の整理(3)」を目指しました。
具体的には
を明確にすることです。その結果は下図の通りとなりました。
実際の販売現場へ行き、販売状況を具に観察したり、実際に販売者として現場に立ち、現場における問題を探りました。ここでわかったことは「想像以上に売場が目立たないため足を止める人が少ない」ことと「少数ではあるが数冊まとめて買うファンの人たちが存在する」という2点でした。
ビッグイシュー様と一緒に「ターゲットをどこにするか?何を伝えるか?」といったマーケティング戦略の格子を決めるワークショップを行い、 「買ったことはないが、キッカケがあれば買ってみたいと思っている人(ポテンシャル層)」をターゲットにし、ポテンシャル層の購入意欲理由である「気軽な社会貢献」や「ビッグイシューの仕組みの応援」をしっかり伝えていくことになりました。
これでマーケティング戦略の枠組みはできたのですが、大きな問題が残りました。通常のビジネス同様「買ったことがない人たちに買ってもらう」のは至難の業です。“キッカケ”があれば買ってみたい。では、そのキッカケをどう作るのか?私たちは観察調査で得た「少数ではあるが数冊まとめて買うファンの人たちが存在する」に注目し、買った人たちに読み終わったら友人・知人に渡してもらおう、ビッグイシューの輪を広げてもらおう、と考えたわけです。いわゆる「アンバサダー制度」の考え方です。
今回、3種類のクリエイティブと動画を制作しました。
アンバサダーツール
販売場所を目立たせるPOP
チラシ・ポスター
THE BIG ISSUE 紹介動画
ホームページでは伝えきれない今回のプロボノプロジェクトの全貌をビッグシュー様が製作日誌という形でまとめておられます。ご興味のある方は、こちらも一読ください。
「このたびは、プラグ社の社会貢献事業としてのホームレス状態支援のビッグイシュー事業への応援を選んでくださり、調査にとどまらず販売冊数増のためのペーパーによるビジュアル表現、さらに動画の制作まで、本当に行き届いた提案をいただき感謝のことばもないほどありがたく思っています。ありがとうございました。
また、常時、10人近い若いスタッフの皆さんが会議に出席し、ともに議論をリードしてくださるだけでなく、路上から定例サロン、パーティなどへの出席まで現場にも深くかかわっていただきました。このようなかかわりを可能にするプラグ社の社会的なミッションの高さ、素晴らしさ、また組織の持つゆとりとパワーに感銘を受けました。
初めて、お会いしたとき、なぜホームレス状態支援のビッグイシューを応援してくれるのかをお聞きすると、若い新入社員が社会とつながり、仕事のやりがいを持てるようになるため、つまり自分たちのためなんです、というお言葉がありました。
貴社スタッフのお力添えに、どれだけ応えられるのか、いまからは私たちが問われます。年末、年度末の繁忙期をまたがって、お力を出し授けていただいこと、心より感謝します。
約半年にわたる高円寺子ども食堂様への支援を通じて、私たちは多くのことを学びました。現代の貧困は見た目や服装からでは判断できないこと、メディアで広く知られてると思っていた子ども食堂も地域によっては認知率が低いこと、子ども食堂=貧困というレッテルが貼られていること。また、私たちがいかに微力な存在かも痛切に思い知らされました。だからこそ私たちは子供の貧困を解決する、社会の問題を解決する挑戦を続けていかなければならない、と一層強く思うようになったのです。
プラグは今後もプロボノを通じて、より良い社会創りに貢献できるよう努力してまいります。